医療トピックス

心臓血管外科のご紹介

                                                 

福島赤十字病院 心臓血管外科の五十嵐と申します。

福島市を中心に、県北地方の心臓疾患および血管疾患の患者様に
適切な医療をご提供できるように、尽力して参ります。

心臓疾患および血管疾患について何かご不明な点がございましたら、
お気軽にお問い合わせください。

福島赤十字病院 心臓外科部副部長 五十嵐 崇 

◆職      歴◆
H16年3月 福島県立医科大学卒業
H18年4月 福島県立医科大学 心臓血管外科入局
福島県立医科大学附属病院を中心に関連病院にて心臓血管外科手術に従事
H19年 米沢市立病院 心臓血管外科
H21年 星総合病院 心臓血管外科
H23年 太田綜合病院付属太田西ノ内病院 心臓血管外科
H24年 福島県立医科大学付属病院 心臓血管外科 成人心臓血管外科領域担当
H26年4月 福島赤十字病院 心臓外科に着任

◆専門医等◆
外科専門医、心臓血管外科専門医
腹部ステントグラフト指導医

◆所属学会◆
日本外科学会
日本循環器学会
日本心臓血管外科学会
日本胸部外科学会
日本血管外科学会
日本心エコー図学会
European Association for Cardio-Thoracic Surgery

◆専門分野◆
心臓弁膜症、虚血性心疾患、大血管疾患に対する低侵襲手術
重症虚血肢に対する治療

【 e-mail address 】ikyoku01@fukushima-med-jrc.jp

[ ご紹介トピックス ]

本邦における高齢化の進展
心臓疾患の概説
心臓弁膜症
虚血性心疾患
血管疾患の概説
胸部・腹部大動脈瘤
心臓血管外科入院と術後のフォローアップについて
手術にかかる費用について


本邦における高齢化の進展

本邦における人口構成は高齢化の一途をたどっています。総人口に占める65歳以上の高齢者人口は3,186万人(平成25年度 総務省調べ)となり、全体の25.0%を占めております。
448
図1;総務省 統計トピックス No.72 統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)より抜粋

本邦における平成23年人口動態統計の死因調査によれば1位 悪性新生物(28.5%)、2位 心疾患(15.5%)、3位 肺炎(9.9%)、4位 脳血管疾患(9.9%)となっております。


図2;厚生労働省 平成23年度人口動態統計月報年計(概数)の概況より

4人に1人が高齢者という社会をむかえ、心疾患および血管疾患の克服が健康寿命の延伸のために重要と考えられます。


心臓疾患の概説

1)心臓の構造、機能について

心臓は“筋肉の塊”で、4つの部屋(左右の心房、左右の心室)とそれを隔てる4つの弁(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁)から構成されています。
心臓は心筋が拡張および収縮を繰り返すことで拍動しており、血液を全身に送っています。
心臓が拍動するためには、“心筋が血液で養われる”必要があります。心筋に血液を供給しているのが「冠動脈」という心臓表面の血管です。


図3;心臓の構造

心臓疾患により心機能が低下すると、“心不全”という状態に至り、息切れ、胸部不快感、全身倦怠感(疲れやすい)、胸痛、動悸、下腿の浮腫などの症状が出現してきます。

2)心臓疾患について

心臓疾患としては大きく分けて、5つ挙げられます。
① 心臓弁膜症
② 虚血性心疾患
③ 不整脈疾患
④ 心筋疾患
⑤ 心臓腫瘍

心臓弁膜症

心臓の弁が変性、硬化することで狭窄や閉鎖不全を生じてくるのが「心臓弁膜症」です。

大動脈弁について

大動脈弁は3枚の弁尖、大動脈弁輪、バルサルバ洞(大動脈基部の部分)からなる王冠状の構造で、左心室と大動脈の間、つまり“心臓の出口”に位置しています。心拍動に伴い、周期的に開放・閉鎖を繰り返しています。

図4;正常な大動脈弁

この大動脈弁が硬化して“心臓から血液を出しにくくなる”のが大動脈弁狭窄症、“弁が閉まりきらず、血液が心臓内に逆流してしまう”のが大動脈弁閉鎖不全症です。

大動脈弁狭窄症

大動脈弁が硬化し、左心室から大動脈への血流が障害されることで心臓に負担がかかってきます。左心室の心筋は肥大することで負担に耐えようとしますが、次第に限界をむかえ、心機能が低下してきます。


図5;大動脈弁狭窄症

弁硬化の原因は主に“動脈硬化性”で加齢によるものです。また経時的に必ず進行します。
大動脈弁狭窄症では心不全(息切れ等)、胸痛、意識消失などの諸症状が出現すると、自然予後(長生きできるかどうか)が極めて不良です。


図6;Ross J et al. Aortic Stenosis. Circulation 1968. 38 supple V. V61-67より引用


大動脈弁狭窄症の患者さんで無治療(手術を受けない)場合には、その症状に応じて、胸痛では5年、意識消失では3年、心不全では2年の自然予後と報告されています。
治療法としては、手術により硬化した大動脈弁を切除し、新たに人工弁を移植してくる「大動脈弁置換術」が一般的です。
人工弁には「機械弁」と「生体弁」があります。
機械弁はパイロライティックカーボンという素材で作られており、耐久性に優れています。手術後は、血栓弁(人工弁に血液の凝固したものが付着した状態)を予防する目的で「抗凝固薬」の内服が必須となります。

図7;機械弁

生体弁はウシやブタなどの生体由来の材料から作られており、人体に移植して問題ないように処理されています。機械弁と比較して長期耐久性は限られますが(約10-15年で劣化してきます)、術後3ヶ月以降は抗凝固療法を必要としない点が利点です。

図8;生体弁

抗凝固薬の内服は「出血性合併症」のリスクがあるため、65-70歳以上の患者様の場合は生体弁をお勧めしております。若年者の患者様の場合は、再手術回避の目的で耐久性に優れた機械弁をお勧めしています。


図9;Ramdas G. Pai et al. Ann Thorac Surg 2006;82:2116-22より引用


大動脈弁狭窄症に関して、未治療の患者さんと大動脈弁置換術後の患者さんの遠隔生存を比較した研究が報告されています。大動脈弁置換術を受けられた患者さんの方が、未治療の患者さんと比較して明らかに生命予後が良好であるため、基本的には手術を受けられることをお勧めします。


大動脈弁閉鎖不全症

大動脈弁が変性し弁の閉鎖が不完全になることで、血液が心臓内に逆流してきます。

図10;大動脈弁閉鎖不全症

心臓は血液が逆流してきた分、“拡大”することで対応しますが、心拡大が進行すると次第に心不全の症状が出現し、徐々に心機能が低下してきます。
治療としては、「大動脈弁置換術」が一般的ですが、弁の変性の仕方に応じて、「大動脈弁形成術(ご自分の弁を温存しながら、修復して逆流を止める)」が適応となる場合があります。

図11;大動脈弁置換術(生体弁)後


僧帽弁について

僧帽弁は左心房と左心室の間にある弁です。1枚の大きい前尖と3枚の小さい後尖、弁輪、弁尖を左心室と接続している腱索と乳頭筋が組み合わり構成されています。

図12;正常な僧帽弁(正面図):Carpentier Alain et al. 「CARPENTIER’S RECONSTRUCTIVE VALVE SURGERY」より引用


図13;僧帽弁、僧帽弁複合体の図

狭窄症や閉鎖不全症を生じることで、左心室内への血流が制限されたり、左心房へ血液が逆流してきたりすることで、心臓に負担がかかってきます。負担の現れとしては、“心房細動(この不整脈によって心臓内に血栓が生じて、脳梗塞の原因になる場合があります)”という不整脈が出現してきます。また徐々に心機能が低下することで心不全の原因となります。



僧帽弁疾患には僧帽弁閉鎖不全症と僧帽弁狭窄症があります。

僧帽弁閉鎖不全症

弁尖が変性(主に加齢性の変化で“粘液変性”といいます。)し、前尖と後尖の接合が不完全になることで、弁が閉まりきらなくなります。左心室から左心房に血液が逆流するようになると、左心房が拡大し、心房細動が出現してきます。また経時的に逆流量が増えていき、重症化してくると、最終的には左心室の拡大を生じ、心機能も低下してきます。

図14;僧帽弁閉鎖不全症


治療法としては「僧帽弁形成術」が一般的です。これはご本人の僧帽弁の壊れている部分(余剰になってしまった弁尖や拡大した弁輪、切れた腱索など)を手術で修復することで、僧帽弁の形を元の正常な形に戻すことで、逆流を制御する治療です。



図15;僧帽弁形成術の一例:余剰な僧帽弁後尖の一部を切除し、縫縮する術式です。


図16;僧帽弁形成術の一例:断裂した腱索を人工腱索(ePTFE縫合糸)を用いて再建し、弁尖の逸脱を修復する術式です。

図17;僧帽弁形成術の一例:ほとんどの僧帽弁形成術において、拡大した弁輪を正常なサイズに矯正し、遠隔期の僧帽弁閉鎖不全症再発の予防を目的とした「リング弁輪縫縮術」を併施します。



図18;リング縫縮に用いる人工弁輪

※図15,16,17;Carpentier Alain et al. 「CARPENTIER’S RECONSTRUCTIVE VALVE SURGERY」より引用


この僧帽弁形成術は、人工弁置換術と比較して、
① 異物(人工物)が極力残らないため、術後の“人工物感染”の危険性が少ない。
② 血栓弁(人工弁に血液の凝固したものが付着すること)からの術後脳梗塞の危険性が少ない。
③ 左心室と僧帽弁の連続性を維持しやすいため、心機能をより温存できる。
④ 長期的に安定である(人工弁置換術後と比較して再手術が少ない)。
⑤ 抗凝固療法が不要である。
などの利点があります。

僧帽弁閉鎖不全症の患者様の多くは、弁の壊れている範囲が限局的で、僧帽弁形成術で治療可能な場合が多いため、形成術が積極的に行われています。
一方で、弁の破壊が高度でご自身の弁を温存できない場合もあり、この場合は人工弁置換術の適応となります。

図19;僧帽弁置換術後

Regent, Masters HP, Trifecta, Epic, Linx, Tailor, SJM, and St. Jude Medical are trademarks of St. Jude Medical, Inc. or its related companies. Reprinted with permission of St. Jude Medical, @2014 All rights reserved.



僧帽弁狭窄症

主な原因は、A群溶血性連鎖球菌による「リウマチ熱」という感染症の後遺症です。近年は高齢者の動脈硬化によるものも見られるようになってきました。

僧帽弁の弁尖や弁輪、弁下の腱索などが肥厚、硬化、短縮、癒合など様々な変化を生じてくることで、弁の開放が制限されます。左心房から左心室への血流が制限されるため、左心房の圧力が高まり、拡大してきます。その後心房細動が出現するようになります。病状が進行すると、肺高血圧症(肺と心臓はつながっているため、心臓の圧力が高まると肺の血管の圧力も高まっていきます)を生じ、身体活動が制限されてきます(疲れやすくなり、息切れが出てきます)。病状がさらに進行すると、右心系(右心房、右心室)にも負担がかかってくるため、“右心不全”という状態に至り、肝機能障害、下腿浮腫などの症状が見られるようになります。


図20;僧帽弁狭窄症

治療としては、僧帽弁置換術が一般的です。
僧帽弁狭窄症の場合、弁の硬化が強く、自己弁を温存しての形成術が困難な場合が多いため、人工弁置換を選択します。

図21;僧帽弁置換術後

虚血性心疾患


狭心症や心筋梗塞といった疾患が含まれます。

狭心症

心筋に血液を供給している「冠動脈」に狭窄や閉塞を生じることで、心筋血流が不足した状態(虚血といいます)になります。労作時など心臓に血液が必要な状態になった時に、虚血が強くなり、胸痛、胸部絞扼感(胸が締めつけられるように痛い)といった症状が出現します。
次第に軽い動作に寄っても胸痛が出現するようになります(不安定化)。
原因は"動脈硬化"によるものが多く、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、喫煙歴などの"リスクファクター"がある方に多い傾向があります。

虚血が高度になれば、軽い動作でも胸部症状が出現するようになります。また症状が頻回に出現するようになったり、症状の持続時間が長くなったりする「不安定狭心症」の状態になると、早期に治療を受けていただく必要があります。

また狭心症をお持ちの患者様は、現時点での胸痛の症状もさることながら、"将来の急性心筋梗塞発症の危険性"についても予防策を講じる必要があります。


図22:冠動脈と冠動脈狭窄;動脈硬化により血管内に粥種(プラーク)が生じることで、徐々に血管の内腔が狭くなってきます。

急性心筋梗塞は、冠動脈内に生じた“粥種(プラーク)”が崩壊し、それに引き続いて生じる“血栓形成”によって冠血流が急激に低下することで生じます。急激に冠血流が低下あるいは途絶すると、心筋は壊死します。一度壊れた心筋は再生しないため、心筋梗塞になった部分は収縮力を失い、心機能が低下します。また冠動脈の閉塞部によっては、非常に広範囲の心筋が梗塞に至るため、心原性ショックの状態になり、突然死の原因となります。


図23;冠動脈内でコレステロールプラークが破綻することで血管内に血栓を生じ、急性に血管の閉塞を生じます。

図24;急性心筋梗塞


狭心症の患者様で冠動脈狭窄が多発しているような場合(特に糖尿病の患者様で多く見られます)、将来の急性心筋梗塞発症の危険性が高いため、なんらかの予防策を講じる必要があります。

治療は一般的に
1) 薬物治療
2) カテーテル治療
3) 手術
の3種類あり、患者様の病状に合わせて適応が分かれていきます。

1)薬物治療
抗血小板薬(血液をさらさらにする)や冠拡張薬(冠動脈を拡張させる)などを内服します。

2)カテーテル治療
血管内に挿入したカテーテルを介して、冠動脈の狭窄部や閉塞部を広げて治療する方法です。血管を広げるバルーンやステント治療があります。身体にかかる負担が少ない治療法です。

3)手術
冠動脈バイパス術という手術です。
ご本人の身体から数本の血管を採取し、冠動脈の狭窄病変を超えて迂回路(バイパス)を作成する手術です。
狭窄病変が複数存在する(3枝病変)患者様、冠動脈の石灰化が高度の患者様、糖尿病の患者様にお勧めします。

図25:冠動脈バイパス術

主に、胸骨背面に走行している左右の内胸動脈、腹部の胃大網動脈、下肢の大伏在静脈等の血管を患者様毎に選択して採取、使用します。

冠動脈バイパス術は心臓を停止させずに行う「心拍動下冠動脈バイパス術」を第一選択としています。心臓止めて行う場合、“人工心肺”という体外循環装置を使用しますが、特に高齢の患者様や併存疾患の多い患者様の場合、手術で身体にかかる負担をできるだけ小さくするために、人工心肺を使用しない「心拍動下冠動脈バイパス術」を適応しています。

図26:心拍動下冠動脈バイパス術

心臓を止めずに冠動脈バイパスを行うために、心臓を持ち上げたり、吻合部の冠動脈のみを固定するための装置を使用しながら行う手術です。

血管疾患の概説

心臓血管外科で担当する血管疾患としては、
① 大動脈疾患
・ 胸部大動脈瘤
・ 腹部大動脈瘤
・ 急性大動脈解離

② 末梢動脈疾患
・ 閉塞性動脈硬化症(下肢、上肢)
・ 急性動脈塞栓症

③ 静脈疾患
・ 下肢静脈瘤
・ 深部静脈血栓症

上記が挙げられます。


胸部・腹部大動脈瘤

「動脈が生理的範囲を超えて拡張した状態」を動脈瘤と定義し、動脈瘤が胸部大動脈あるいは腹部大動脈に生じた場合、胸部大動脈瘤および腹部大動脈瘤と診断されます。


図27:左図;正常の大動脈、右図;胸部・腹部大動脈瘤

胸部・腹部大動脈瘤は拡張の程度に応じて、一定の割合で破裂して大出血を起こし、死に至ることのある危険な疾患です。

また動脈瘤は「拡大したのみでは症状が無いこと」が恐ろしい点で、動脈瘤をお持ちの患者様でも実際に破裂するまで(破裂時には激しい痛みを生じます)、存在に気付かないこともしばしば経験されます。


図28;腹部大動脈瘤のサイズと年間破裂率のグラフ
The U.K. Small Aneurysm Trial Participants, with Louise C. Brown, MSc,* and Janet T. Powell, MD*Ann Surg. 1999 September;230(3):289-289.から引用


一般的には直径50〜60mm以上となると破裂の頻度が高率になってきます。
このため、患者様の年齢、併存疾患、全身状態に合わせて、治療方針を検討していくことになります。

治療としては、2つの方法があります。

① 開胸あるいは開腹手術による人工血管置換術

拡張した大動脈を切除し、人工血管で置き換えることで破裂を予防する手術です。胸部であれば開胸を、腹部であれば開腹が必要となります。
胸部であれば、心臓手術と同様、人工心肺などの体外循環装置を使用しながらの手術となります。

開胸および開腹の創が残り、後述のステントグラフト内挿術と比較して、やや身体にかかる負担(侵襲性)が大きい点が欠点ですが、歴史のある治療法で確実性が高い点、手術を乗り越えれば長期的に安定な治療法である点がメリットです。


図29;開胸・開腹手術

② ステントグラフト内挿術

“ステントグラフト(人工血管に金属製の骨格を組み合わせたもの)”を血管内に挿入し、動脈瘤を血管の内部からカバーする治療法です。動脈瘤に血圧が加わらないようにすることで、破裂を予防するという考え方の治療です。


図30;ステントグラフト内挿術(胸部および腹部)

鼠径部に小さい切開を加え、大腿動脈を露出します。ステントグラフトが収納された直径6-8mm前後のカテーテルを大腿動脈から大動脈内に挿入していき、動脈瘤の部分まで到達します。


図31;鼠蹊部からのカテーテル挿入

カテーテル内からステントグラフトを開放し、動脈瘤内に留置します。
血流がステントグラフトの内部のみを流れ、動脈瘤内への血流のリーク(漏れ)が無ければ成功となります。

ステントグラフト内挿術の良い点は、鼠径部に小さい創が残るのみで、開胸や開腹の必要がないため、身体にかかる負担(侵襲性)が小さい点です。すなわち術後の回復が早く、より早期の社会復帰が可能となります。

一方で、新しい治療法(本邦では腹部は2007年に、胸部は2008年にステントグラフトの薬事承認が認可されました。)ですので、長期成績が未だ不明な点が欠点です。ステントグラフト治療後に動脈瘤の拡大を生じ、最終的に開胸・開腹手術が必要となる場合が少数ですが存在します。

動脈瘤の治療法は大きく分けて上記の2通りになります。
患者様の病状や併存疾患の状況(手術リスク)、動脈瘤の存在部位や形態に応じて、より適した手術方法を選択していくことになります。

◆当院は「腹部ステントグラフト内挿術実施認定施設」です

当院は日本ステントグラフト実施基準管理委員会の定める「腹部ステントグラフト内挿術実施認定施設」です。


図32;ステントグラフト内挿術の一例(83歳、女性) 左図;手術前、右図;手術後

この患者様は検診で行われた腹部エコー検査で、偶然に腹部大動脈瘤を指摘されて当科を紹介されました。
術前のCT検査(左図)で腹部(おへその高さ)に直径約50mmの大動脈瘤を認めました。

嚢状瘤(破裂しやすい形態です)のため、すみやかな治療が必要と考えられ、また83歳とご高齢のため可能な限り体への負担が少ない治療が望ましいとの判断から、ステントグラフト治療を受けていただきました。

術後経過は順調で、術後のCT検査(右図)では、血管内に挿入されたステントグラフトによって動脈瘤が塞がれており、写ってこない状態になっています。術後約1週間で元気に退院されました。

実際に破裂してしまうと救命率は2割以下と言われています。

腹部大動脈瘤は拡大したのみでは無症状であるため、診断の為には積極的な検査が大切です。腹部エコー検査やCT検査を行えば、99%診断できます。

60歳以上で、
1)高血圧や脂質異常症をお持ちの患者様
2)喫煙者の方
3)脳血管疾患や心臓疾患の既往のある患者様
は是非一度検診を受けていただく事をお勧めします(5年に一度は検査をするのが望ましいとされております)。
腹部大動脈瘤についてご不明な点がおありの患者様は、お気軽にご相談ください。

心臓血管外科入院と術後のフォローアップについて

外来を受診あるいはご紹介いただき、病状と治療方針についてご説明させていただきます。
主に月曜日、火曜日、金曜日の午前中が心臓・大血管・末梢血管の担当外来となっております。
また急を要する患者様につきましてはこの限りではありませんので、いつでもお気軽にご相談ください。

手術適応と判断される場合には、まず術前検査を予定させていただきます。心臓の状態、全身の血管の状態やその他の臓器の機能などについて詳細に確認することで、可能な限り安全に手術を受けていただくためです。
術前検査が終了しましたら、すみやかに手術予定を組ませていただきます。

手術入院について

通常心臓、大血管の手術の場合、術前3日前に入院していただき、体調を整えていただきます。
末梢血管手術の場合は1−2日前の入院となります。

手術当日:午前中から手術開始し、術後は集中治療室に入室します。
経過が順調であれば、術後1-2日で集中治療室から退出し、一般病棟でリハビリテーションを行います。術後リハビリテーションと術後検査を含めて、2週間前後での退院を目指しています。


退院後の外来通院について

退院後初回は2週間後に外来を受診していただきます。創部の確認やご自宅に戻られてからの生活に支障がないかなど、問診および診察を致します。

特別な問題が無ければ、受けていただいた手術の内容に応じて、4週間から6週間毎に外来通院を継続していただき、経過を観察していきます。

また年1回程度、心臓エコー検査や胸部・腹部CT撮影などの検査を行うことで術後のフォローアップを継続していきます。

手術にかかる費用について

心臓手術には高額な費用がかかりますが、経済的負担を軽くする制度があり、 大抵の場合数万円~十数万円程度の個人負担で手術が受けられます。
公的医療保険には、医療費の自己負担額が高額になった場合に一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が払い戻される「高額療養費制度」があり、年齢や所得に応じて、1ヶ月あたりのご本人が支払う医療費の上限が定められます。またいくつかの条件を満たすことにより、さらに負担を軽減する仕組みも設けられています。

 詳しくは厚生労働省ホームページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」をご覧ください。
高額療養費に関しては、本館1階 医療相談室でご相談に応じております。



トップページ