謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 今年は東日本大震災、福島原発事故から10年目の節目となる年です。福島県では、原子力災害の傷跡は消えることなく震災からの復興も道半ばといったところです。そして、2020年初頭から世界を席巻している新型コロナウイルスの猛威は、年が明けても収まる兆しがありません。
 昨年12月には、福島市における市中感染拡大の影響を受け、当院で新型コロナウイルスの院内感染が発生してしまいました。ただちに福島市保健所、福島医大感染制御支援チーム、DMATの方々が支援に駆けつけてくださり、そのご助言のもと外来診療、救急車の受け入れ、新入院を休止し、接触職員を2週間自宅待機といたしました。その後経時的にPCR検査を行ったところ、直後にPCR陰性であった職員3名が7~11日後に陽性化しましたので、今回の処置が感染拡大予防に有効であったことを実感いたしました。
 院内感染収束に向けての初期の工程は、大規模災害時の対応に類似していること、自院だけで問題を解決しようとせず、ご支援いただいている方々の力を借り、当院の主要メンバーも新たな視点で問題解決を進めることが大事であるということ等、私たちは多くのことを学びました。そして職員全員が気持ちを一つにして立ち向かった結果、感染拡大を最小限にしてほぼ予定通り通常業務を再開できたのです。
 当院が通常診療と2次救急輪番を休止している間、福島医大附属病院、大原綜合病院など市内の多くの医療機関に当院の役割を代わっていだだき、多大なるご負担をおかけしましたが、快く対応していただきましたことに心から感謝いたします。
 さて新年度からは、小児科と泌尿器科に福島医大から医師を増員していただく予定で、2人体制となり診療がさらに充実したものになると期待しております。2024年からは「医師の働き方改革」が法律で規定されるようになります。基準を守り、診療機能を低下させないためには医師の増員が必須となります。永遠の課題ではありますが、医師確保に努めてまいります。
 新型コロナウイルス感染症の収束にはまだまだ時間がかかりそうですし、それがいつになるのか全くわかりません。しかし新築移転から3年目を迎える今、先を明るく見て、公的医療機関として県北医療圏の地域医療、救急医療に貢献することはもちろんのこと、第2種感染症指定医療機関として新型コロナウイルス感染症患者に対応し、人道、博愛の道を進んで行きたいと考えております。
 それが福島日赤の使命です。

 皆様、本年もよろしくお願いいたします。


令和3年1月1日
  福島赤十字病院長 渡部洋一